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ヴェムケンミヤマ飼育記①

今回はヴェムケンミヤマの飼育記事となります。
とりあえず1サイクルが完了し、一区切りということで。


◾️ヴェムケンミヤマについて

まず、和名についてですが、以前記事に載せた通り、当ブログにおいては最新の和名に基づき「ウェムケンミヤマ」ではなく、「ヴェムケンミヤマ」と現地ドイツ語の発音ベースにさせて頂きます。
ちなみにこの和名、全然浸透してないです。理由はショップが使用してないからというのが一番大きいです。生物学的には学名ファーストなので正直和名なんてなんでも良いのですが、ある程度統一した方が気持ち良いので、これを見た方は明日から「ヴェムケンミヤマ」で統一しましょう。でも一度浸透した和名を変えるのって難しいのよね。

和名:ヴェムケンミヤマクワガタ
学名:Lucanus wemckeni Schenk, 2006
分布:インド北東部(アルナーチャル・プラディーシュ州)、中国(チベット南東部)
サイズ:♂31.9~57.5ミリ、♀27.6~32.0ミリ

特徴は独特の大あごで他種には見られない面白い形状をしています。


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ヴェムケンミヤマといえば、従前より珍品として名高い種類の一つでした。
本種は2006年に記載されているものの、2010年の大図鑑では紹介されておらず、おそらく日本の図鑑で初めて紹介されたのは、2014年の「BE-KUEA 50号 インドのクワガタムシ大特集」と推察されます。本誌において『灯火にはあまり集まらない珍品』『3年間の調査で本種に出逢えたのはわずか10回にも満たない』と記載されています。
標本価値も非常に高く、ミシュミミヤマと並んで、非常に高価なミヤマの一種でした。

一方、生体の初入荷は2015年頃と記憶しています。
インド産のクワガタの輸入は現在一部の中国経由を除いて、基本的に前田氏のみですので、いつかは入ると思っていましたが、割と早かったですね。当時の値段は分かりませんが、数十万円(30−50万ぐらい)だと思います。
その後、2018年は♀単品で5万円、2019年は♀単で3万円強まで下がりました。ある程度数が採れ、飼育が簡単だと一気に相場が下がりますね。

グループはメアレーミヤマ、ロンドミヤマと同じグループに属します。光沢が強く、♀が非常に類似していることに特徴があります。特にヴェムケンとメアレーの♀は非常に類似しており、一応区別する方法はありますが、100%の判別は困難と考えられます。現に、同定100%じゃないからという理由で安く販売していたり、♂の反応を確認してから販売してたりします。あと多分に漏れず♂は標本にされることが多いので、♀単品での販売が多いです。

また、主にインド北東部の個体が生体として出回っています。現在最も多く流通しているのが、Lower Subansiriです。次がWest Kameng、West Siang、チベットメンリン県ですが、いずれも入荷数が少ないので、少数です。なお、チベット産は2015年の9月に不明種として入荷した個体からの累代です。



我が家でも複数産地は飼育せず、多産地であるLower Subansiriの個体のみ飼育しています。


ちなみに、産地による個体差はあるのかという疑問はありますが、これについては「おそらくない」というのが現状の結論かと思います。West Siang以外の個体は全て見たことがありますが、特に違いがあるようには見受けられませんでした。チベットの個体は赤くなるという話もありますが、これは産地差というより個体差のような気がしています。
また、あまり知られていませんが、本種は全く微毛がないメタリックな個体が存在します。現在確認しているのは、West Kamengでの個体ですが、聞いたところWest Kamengの全ての個体がこのような特徴を備えている訳ではないということなので、これも血統によるもの、個体差の範囲と言えるのではないかと考えています。(遺伝はするようです)
このメタリックの個体、実際見ましたが、印象がガラリと異なりカッコ良かったです。


■2018年 個体の入手

成虫はまだ高いため幼虫で購入しました。
ショップからの購入で4頭1.2万円ぐらいと、当時にしても破格の値段だったと記憶しています。
その後いろいろあり、4血統ほど飼育していますが、ひとまずこちらの血統の顛末から。

幼虫は800ccボトルに生オガ発酵マットで管理。温度は20度前後一定です。

■2020年3月 羽化

内容をだいぶ端折りましたが、4頭中3頭は無事に2年弱で羽化しました。
冒頭の写真とは別個体です。

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この大あごが特徴的です。

ちなみにこちらの♂はサイズが59ミリでした。
現レコードは60.0ミリなので、比較的大きい個体だと思います。(非公式では60ミリ以上も出ていたはずなので、特大ではないです。)
こんな適当な飼育でこのサイズになるので、60ミリ台後半は余裕でいくと思います。

これらの個体は秋以降に飼育予定で寝かせています。


■2020年2月 成虫ペア入手

今年ブリードの個体も欲しいよねということで、サイズは小さいですが、2020年夏ブリード用の個体を入手。値段は安すぎるので非公開。予備として2ペア入手しました。

紹介。

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真上ビュー。

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少し小さいので迫力には欠けますが、特徴はよく出ています。

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こちらが♀。メアレーと比較して実は特徴がよく出ている個体なので、この写真はよく見ておくと良いです。

ヴェムケンミヤマクワガタ
Lucanus wemckeni Schenk, 2006
産地:インド共和国アルナーチャル・プラディーシュ州ローワーサバンシリ/ Lower Subansiri District, Arunachal Pradesh, India
羽化:2019年10月


■2020年5月27日 ペアリング

5月上旬には起きていたので、ペアリングを実行。
クリアスライダー小で実施。

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交尾欲は通常のミヤマ同様に高いので、ペアリングは普通に目視できました。


■2020年5月30日 1セット目

とりあえず1セット目を組みました。
マットは悩みましたが、試したいマットがあったので、実験に使用。

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セット日:2020年5月30日
ケース:中ケース
材:なし
マット:N+カブトマット
水分:普通
温度:21度

今年は材は入れないことにしました。
また、少しカブトマットは某メーカーのマットを使用しています。初めて使用しますが、触感はわりといい感じです。

飼育自体は難しい種類ではないので、これで大丈夫だと思います。


■2020年6月7日 2セット目

セット内容は上記同様です。
こちらはペアリングを目視できなかったため、面倒になり同居セットです。
(♀殺しはあるので、本来は避けた方が良いです。)


■2020年6月14日 割り出し①

1セット目の割り出しをしてみました。

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ひっくり返した時点で卵は見えましたので、一安心。

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その後も卵は出続け、結果は30個
1日2個ぐらいのペースで産んでいたようです。卵の状態もGood。ほぼ孵化すると思います。

今回使用したマットも問題なく使えるようです。

■2020年7月14日 割り出し②

1セット目の2度目の割り出し。
この日は12個でした。少しペースは落ちましたが、卵の状態は変わらずGoodでした。


■2020年8月16日 割り出し③

2セット目も含めて、放置してました。
この日にまとめて割り出し。

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結果は、
セット1:卵31個、幼虫1頭
セット2:幼虫55頭

1回目、2回目の割り出しと合わせて合計で卵72個、幼虫56頭で合計128でした。

2セットの合計ですが、十分な数が採れたかと思われます。
本種のセットは初めてでしたが、やはり簡単なようです。

卵もほとんど孵化してきています。
これ秋も2♀ぐらい控えてますが、ブリードする必要ないんじゃ…と思い始めていますが、また考えます。


■飼育まとめ

ここで一度簡単にまとめます。

●個体の入手について
今年は野外品はありませんでしたが、値段も下がってきましたので、野外品から入手しても良いと思います。ただ、状態が悪い♀も多いので、実物は見た方が吉。また、West Kamengの個体はメアレーの可能性も高いので、Lower Subansiriの方がいいです。下手にマイナー産地の個体を飼育すると、偏った際に探すのが面倒です。
幼虫なら手頃なお値段で購入できますので、幼虫からの飼育もおすすめです。

●産卵について
通常のミヤマと同様のセットで大丈夫です。黒土も材も不要ですが、あっても大丈夫です。
特に気にする点はないように感じました。

●幼虫飼育について
たまに聞かれますが、本種もそんなに癖がある訳ではないので、生オガ系のマットや黒土系のマット、発酵深めのマットいずれでも問題なく育ちます。幼虫の体重はユダイクスや国産ミヤマと比較すると驚くほど乗りませんが、還元率は割と良いので、800ccボトルでもそれなりのサイズで羽化します。幼虫期間は1.5年ぐらいが平均かなという印象です。

以上、総じて飼育は容易です。

なお、本種は孵化率100%に近いレベルで良いのですが、メアレーがイマイチなんですよね。
やっぱり何か違うのかも。

次の目標は65ミリで頑張ります。






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