ヒメミヤマ(原名亜種)飼育記①
- 30, 2019 22:27
- ヒメミヤマ(原名亜種)
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書くべき種類はたくさんいるのですが、ゲアン、タカサゴに引き続き、ヒメミヤマクワガタの原名亜種こと通称タイワンヒメミヤマクワガタの飼育記事となります。
◼︎タイワンヒメミヤマクワガタについて
和名:ヒメミヤマクワガタ(原名亜種)
学名:Lucanus swinhoei swinhoei
分布:台湾
サイズ:♂27.0~54.0ミリ、♀20.0~31.0ミリ
珍品度:やや少ない☆☆☆
和名がヒメミヤマクワガタということで、いわゆるヒメミヤマクワガタ系のミヤマクワガタの中の最も基本的な種類と言えると思います。
台湾に生息する個体を原名亜種とし、大陸(中国の浙江省、福建省、広西壮族自治区)にssp. continentalisがいます。
台湾ではタカサゴミヤマやタイワンミヤマと並んで一般的に見られる種類だと思いますが、これらと比較すると入荷量は少ないです。現地での発生時期が5~6月とやや早いのも要因かもしれません。(7月ぐらいまで発生はしてるようです。)
同時に人気もないです。
私の記憶では去年はほとんど入荷がなかったように思います。
今年は結構ありました。
形はまさにヒメミヤマと言った感じで、色味やぱっと見の造形は北アメリカ大陸に生息するエラフスミヤマにも類似しているような気がします。
♀も典型的なヒメミヤマの大あご。
大図鑑によると、「中型種。♂の大あご、頭部、前胸背板は暗褐色で、上翅は褐色。頭部の耳状突起は発達し、大あごは太く強壮でゆるやかに湾曲し、先端は大きく二又に分かれ、基部から約1/3のところに側方を向く大きな内歯があり、先端部から基部付近にかけては四角形状の小さい内歯が鋸歯状に並ぶ。♀は黒褐色で、体が細長く、光沢がある。」とあります。
「世界クワガタムシ大図鑑」(藤田 宏, 2010.) P102より引用
ちなみに、原名亜種とssp. continentalisの違いは♂の頭部の耳状突起の先端部と大あごの湾曲にあるようです(原名亜種の方が耳状突起の先端部が角張り、大あごの湾曲が弱い)。
飼育について、ヒメミヤマ系は一般的に癖があると言われていますが、本種に関してはヒメミヤマの中でも最も癖が少ない種類と言われており、個人的には失敗が許されない種でもあります。
まぁあくまで噂ですし、自分の目で確かめないことには何とも言えませんが。
と言うわけでブリード開始。
◼︎2019年7月8日 生体入手
一般的に出回った野外品の入荷は7/15のむし社様かと思いますが、実はその1週間前にLJ様に別産地の個体が入荷していました。
当然の如くひっそりと購入。
2ペアしか入りませんでしたが、良い方を選びました。
♂。羽にピン穴があるものの、他は完品。
♀も状態はGOOD。
タイワンヒメミヤマクワガタ
Lucanus swinhoei swinhoei
産地:台湾南投縣仁愛郷清境
累代:WILD
入荷:2019年7月8日
追い掛けしようと思いましたが、♂が凶暴なため追い掛けはせず。
◼︎2019年7月11日 産卵セット
温度を慣らして餌を与えた後セットへ。
なぜか♂も投入。
セット日:2019年7月11日
ケース:小ケース
材:なし
マット:N+黒土
水分:普通
温度:20~21度
一般的なミヤマのセットです。
水苔は引き込みそうなので、少し多めに敷きました。
◼︎2019年7月29割り出し①
1度目の割り出し。
写真は汚いですが、水苔を引き込んでいます。
予想通り、状態の良さそうな卵がちらほら。
結果は卵が20個でした。
まぁ、こんなものかな。
引き続きセット。
◼︎2019年8月20日 割り出し②
2度目の割り出し。
♀は結構前に落ちているのを確認したので、これで最終です。
結果は卵が5個でした。
合計で25個。
最初の方の卵は孵化し始めましたし、状態の良い卵が多いため20頭以上は確保できたと思います。
たぶん幼虫の飼育も難しくないと思われます。
◼︎飼育まとめ
産卵についてのみ記載します。
●生体の入手について
入荷は年により様々です。
現地で採れるクワガタではありますが、クリイロ同様に数は多くないです。
同時に飼育者が少ない、幼虫期間が長い(たぶん3年ぐらい)などの理由から飼育品の流通もかなり少ないです。
なので、野外品の入荷を見たら、即買い即セットが基本ですね。
金額は今年の相場だとペア5,000円前後。イベントでS倉氏の自己採集とかだともっと安く買えるはず。
オークションにも野外品が結構ででましたが、最後の方はかなり安かったと思います(その分状態も落ちるかもしれませんが)。
●産卵セットについて
これに関しては普通のミヤマと同じで問題ないです。強いて言えば、水苔があった方が良いかな~ぐらい。
噂通り、他のヒメミヤマと比較して癖もなく良く産んでくれます。
ちなみに、ヒメミヤマ系は成虫まで3年ぐらい掛かる種類も多いのですが(中にはルックのように4年掛かるクワガタも)、これは幼虫飼育の何かが間違っているのでしょうね。それを解き明かすのが飼育者の腕の見せ所なのかもしれません。私には無理ですが。
採れた幼虫を全部飼育するかはわかりませんが、無事成虫まで持っていきたいですね。