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2020年の総括

また久しく間が空いてしまいました。
もう年の瀬ですね。2020年もいろいろありましたが、正直COVID19の印象が大きすぎて他の印象が薄れています。個人的にもコロナの影響だけではありませんが、2019年と比較してもかなり忙しく、まともに飼育ができない期間も多かったです。
当ブログの更新もあまりできませんでした。
一方で、更新していないにも関わらず、多くな方がブログをご覧になっていることは確認しており、大変励みになっています。

さて、今年の総括と言ってもそんなに書くこともありませんので、まずは2020年の野外品の状況から辿ります。

■2020年の野外品

今年は新型コロナウィルスの影響で野外品、特にアジア方面は壊滅的でした。
特にベトナム、ラオス、インド、タイを窓口とするミャンマーとこの辺りは全く入っていないと思います。(一部例外はあり)

なお、本情報はこちらの記事のアップデートです。
可能な限り代表的な入荷種を記載しています。また、一般に公表されるよりも早く入荷したことを知っている場合には、そちらの日付に合わせている場合もあります。

1/9 オーストラリア(NK):ハイイロ
1/11 オーストラリア(POB):ハイイロ
1/12 チベット材割(LS):マクレイコクワ
1/13 台湾(LS):タイワンネブト
1/15 チベット(POB):ウォードコクワ
1/17 雲南省(DG):ウォードコクワ
1/25 オーストラリア(POB):ハイイロ
2/1 オーストラリア(POB):ハイイロ
2/4 ブラジル、エクアドル(MK):ギアスゾウ、ヘラクレス・リッキー、ネプチューン
2/6 ペルー(DF):ソウラニセネブト、シミリスニセネブト
2/13 ハルマヘラ島(A):メタリフェルホソアカ(aenomicans)
2/18 タイ(LS):スペキオススシカ(幼採)
2/19 フィリピン(M):パラワンヒラタ
3/1 マレーシア(DG):モセリ
3/12 エクアドル(KP):ネプチューン
   ハルマヘラ島、カシルタ島、バチャン島(A):メタリフェル(aenomicans)、ウォレスノコギリ
3/22 フィリピン(KP):パラワンヒラタ
4/6 タイ(LJ):スペキオススシカ
4/18 マレーシア(BLP):モセリオウゴンオニ
5/13 マレーシア(LS):コーカサス
5/23 台湾(NK):タカサゴミヤマ
6/4 カメルーン(POB):ファベールノコギリ
6/8 台湾(POB):タカサゴミヤマ、タイワンヒメミヤマ
6/17 台湾(IJ):フォルフィクラ(マルバネノコギリ)、ムニスゼッチホソアカ
6/19 マレーシア(MO,BLP,LJ,M):コーカサス、モセリオウゴンオニ
6/20 タイ(DF):アンタエウス
   台湾(NK):ヤマダ、タカサゴミヤマ、タイワンサビ、ヒメミヤマ、ツノボソ、タイワンネブト
6/27 台湾(IJ):タカサゴミヤマ、クリイロミヤマ(北部亜種)
6/28 インドネシア(A,DG)、ハルマヘラ、モロタイ(A):メタリフェルホソアカ(otani)、プラティオドンネブト(原名)、ウォレスノコギリ
6/29 カメルーン(POB):レギウス、グラディアトールメンガタ
7/3 カメルーン(MK):レギウス、グラディアトールメンガタ
7/6 奄美大島(NK):アマミノコギリ、スジブトヒラタ、アマミヒラタ
7/7 沖縄本島(LJ):オキナワヒラタ
  インドネシア(M):メタリフェル
  台湾(DG):タイワンミヤマ、ヒメミヤマ、ザウテルシカ
7/11 カメルーン(KP):グラディアトールメンガタ
7/14 奄美大島(MK):アマミノコギリ
7/17 奄美大島、屋久島、種子島(M):アマミノコギリ、ヤクシマノコギリ、ヤクシマコクワ
  インドネシア(KP):普通種
       トルコ(KP):ラティコルニスミヤマ
7/20 カメルーン(POB):アンティロープノコギリ、サバゲノコギリ、グラディアトール
7/21 奄美大島(IJ):アマミノコギリ、アマミコクワ、スジブトヒラタ、アマミヒラタ
7/26 マレーシア(LJ):ディディエールシカ、コーカサス
7/30 マレーシア(BLP):コーカサス、モセリオウゴンオニ、コツヤ、ミネットサビ
8/2 奄美大島(MK):アマミノコギリ、スジブトヒラタ、アマミコクワ
8/4 マレーシア(DG):モセリ、ディディエールシカ、アンタエウス、ハンステインヒラタ、フェモラリスツヤ、アスタコイデス、コーカサス
  久米島、新島、式根島、利島、大島(M):クメジマノコ、オキナワヒラタ、ミヤケノコ、コクワ
8/7 久米島、式根島、沖縄本島、徳之島(LS):クメジマノコ、オキナワヒラタ、ミヤケノコ、トクノシマノコ、トクノシマヒラタ、アマミヒラタ、アマミノコ、スジブトヒラタ
8/8 台湾(IJ):フォルフィクラ、タイワンシカ
8/12 メキシコ(H,KP,DF等):モンゾーニコフキ
8/15 沖縄本島、徳之島、壱岐島、下甑島(M):リュウキュウコクワ、オキナワヒラタ、トクノシマノコギリ、ノコギリ
8/18 インドネシア(A,M,LJ):普通種
8/19 台湾(IJ):アカマルバネ、タイワンシカ
8/29 インドネシア(KP):普通種
9/6 台湾(IJ):アスタコイデス、ウスバ、シカ
9/13 インドネシア(A):普通種
9/17 台湾(IJ):アカマルバネ
9/20 メキシコ(H):パチェコヒメゾウ、テルシテスヒメゾウ
10/2 台湾(IM):アカマルバネ
10/10 タイ(S):シャムゴホンヅノ、パリーフタマタ、ウェスターマンヒラタ
10/10 インドネシア(A):サンボンヅノ、リューエンネブト、インビタビリスなど
10/12 雲南省、チベット(S):ノセオオクワ、アンタエウス、マクレイ、シネンシス
10/17 ミャンマー・カチン州(MK):ドンキエル(原名)、マクレイ、ウエストウッディ(カズミアエ)、アンタエウス、ツノボソ
   タイ(MK):ゴホンヅノ、シャムゴホンヅノ、アトラス(マンテツ)、パリーフタマタ(デロレ)、モウホツヤ(エレガンス)
10/24 インドネシア(LJ):アスタコイデス等
10/27 エクアドル(H,KP,DF):フンボルトヒナ(コサンガ、トゥラングワ)、オハウスビロードヒナ(ベラビスタ)、ゴロファsp.(♀のみ)、ルギコリスヘラヅノ、ショーエンヘリーヘラヅノ、アルティコリスシワバネ(フェイスタメル?)
   メキシコ・ゲレーロ州(H,KP,DF):ヒルスシロ(♀のみ)、オキシデンタリスゾウ(♂のみ)、ペヘルケヘラヅノ、シボレーヘラヅノ、マルカブト
10/29 カメルーン(POB,MK,KP,DG):ケンタウルス、レギウス、セネガルノコギリ、サバゲノコギリ
          タイ(KP):ギラファノコギリ 
11/3 中国・山東省(DG):ホペイオオクワ(樹液)
        中国・雲南省(DG):シネンシス(材割)
        中国・徳宏タイ族(DG):ヒルティコルニス(樹液)
11/9 カメルーン(M,LJ):ケンタウルス、メリーメンガタ
        インドネシア(A,M):サンボンヅノ、プラティオドン(アルファック)等
11/10 カメルーン(KP):レギウス、サバゲノコギリ
   カメルーン(BLP):ケンタウルス、メリーメンガタ
11/11  中国・四川省(POB):ハイチュヌスコクワ、タオコクワ
   チベット(POB):ペマコヒラタ、ポリトゥスノコギリ
11/12 チベット(DG):ネパレンシス、ポリトゥスノコギリ
   中国・雲南省(DG):モーレンカンプコクワ
11/18 メキシコ・ゲレーロ州(H,KP,DF):オキシデンタレゾウ、ヒルスシロ
11/23 ブラジル(DF):ウルスヒナ、コルニゲラヒナ、デュポントヒナ
11/24 インドネシア(KP,BO):普通種
11/18 カメルーン(POB):メリーメンガタ
11/28 カメルーン(POB):レギウス
12/3 中国(IJ):ホペイオオ(樹液)
12/8 インドネシア(A):普通種、サンボンヅノ
12/9 ブラジル(DF):ブルメイスターホソ、ティビアリスホソ、グラキリスホソ、エンテルス
12/17 ペルー(H,DF):ペルビアヌスクビボソ
   エクアドル(H,DF):フンボルトヒナ、オハウスエボシヒナ、バックレイコフキ、グランディスヒナ、ショーエンヘリーヘラヅノ
12/17 中国・盈江県、雲南省(DG):アンタエウス(材割)、クルビデンス(材割)、スペンスノコギリ(材割)
12/18 オーストラリア(POB):ハイイロ、トレスノコギリ
12/19 カメルーン(MK):レギウス、メリーメンガタ
12/21 インドネシア(KP):普通種
12/30 中国・四川省(POB):ルディテンポラリスニセヒラタ

こう見ると、インドネシアやいち早くエアカーゴか回復したアフリカ、オーストラリアと南米はまだ入荷がある方かと思います。
メキシコやトルコと言った変わり種も印象的でした。
それでもアジアの大陸がなかった分、全体的に寂しい結果でした。
特にLucanusは種類も少なく寂しかったですね。

コロナの現状を見ると来年もアジア方面は厳しいそうとのことです。
早く復活すること祈ります。
他にも来年は少し楽しみな便が入荷するかもとの情報も頂いているので、その辺は期待したいところですね。


■2020年のイベント

2020年の関東で行われた主なイベントは以下になります。

2月29日:大宮インセクトフェスティバル(生体)
3月1日:大宮インセクトフェスティバル(標本)
7月12日:KUWATAフェスティバル横浜
10月18日:KUWATAフェスティバル横浜
12月13日:インセクトFAN(日本橋)
12月26日:KUWATAフェスティバル横浜

こんな感じでかなり少ないですね。
恒例の大手町インセクトフェアも2021年3月に延期となりましたが、このままでは開催されるかは怪しいですね。
私も昨年まではほとんんどのイベントに顔を出していますが、今年は1回顔を出した程度。ほとんどの方にお会いすることは叶いませんでした。
最近欲しいものが全くないというのも理由の一つではありますが。

とはいえ、イベント自体はとても楽しいので、コロナが落ち着いたらまた遊びに行きたいですね。

■2020年の飼育状況

上述したとおり、今年は(私好みの)野外品がほとんど入りませんでしたので、野外品の飼育はほとんどしていません。また、数が増えすぎたのもあり、そもそも購入自体あまりしていません。
なので、飼育品の累代を回すだけで結構いっぱいいっぱいでした。
それでも春、夏、秋と3期に分けてミヤマの飼育計画を立ててセットを組んだ利していたため、ピーク次は20セット近くは組んでいたと思います。
すでに記事にしたヴェムケンや現在執筆中のラエトゥスをはじめとした種類は100頭以上確保できたので、結果としては十分でしたが、苦手とするセリケウスやメアレーは数があまり取れませんでした。


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1年1化で羽化してきたタカサゴミヤマ。

レコードラインのアクベシアヌスやユダイクスも数は採れていますが、なかなかマット交換などが滞っています。

一方で、去年の野外品からの幼虫も羽化してきました。

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1年1化で羽化したゲアンミヤマ(phuongi)。

この他にもチベットミヤマ(isaki)やホウライミヤマなども羽化しており、来年の飼育が楽しみです。

国産でもイズミヤマがこれから羽化してくる予定だったり、アマミミヤマもそこそこ数はいるので、来年も多少はセットが組めそうです。

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メイン飼育種のネブトでは、相変わらず国産をぼちぼち多めといった感じでやっていますが、産卵セットを放置しがちなのは相変わらずで、サイズを狙った飼育には至っていません。
その他にもあまり流通のないラムリーネブトやモンタヌスネブトなども累代は続いていますが、現状進展はあまりありません。
最近はネブトの飼育者も増えてきましたし、もう少し種類を絞りたいとは考えているところです。

その他には個人的に好きなオニクワガタ属は変わらず6種ほど累代しています。ホソアカもエラフスを中心として少しだけ続けていますが、管理不足により途絶えそうな勢いです。
南米の小型種もペルーやオノレあたりはまだ続けていますが、これらも油断したら絶えそうです。(絶える理由は大体面倒でセットを組まずに放置しているからです。)

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写真は季節外れの羽化をしてきた神奈川産のオニクワガタ。累代も進んできました。

来年はさらに忙しくなると思うので、少しずつ飼育種は整理していきたいですね。


■2021年に向けて

来年は飼育種を絞り、適度に管理できるようにしたいですね。
コロナが落ち着けは採集にも行きたいですが、現状だと離島にも行けなそうです。

今年お会いできなかった方も多くいるので、少しはお話しできる機会もあると良いですね。
あとは更新頻度を少しずつ戻したいですが、これは今のライフスタイルを考えると少し難しいかもしれません。

では、良いお年を。


今回は台湾に生息するクリイロミヤマクワガタ(原名亜種)の飼育記事となります。
またまた時間が空いてしまいました。今年は本当に忙しく、休日も夜中までずっと仕事したりしてます。


◾️クリイロミヤマクワガタについて 

クリイロミヤマは台湾に生息する小型~中型のミヤマクワガタの1種で、飼育品・野外品ともに比較的流通は少ない部類に入ります。
諸説ありますが、最新の分類によりますと、原名亜種と北部亜種の2亜種に分類され、いずれも台湾のみに生息しています。 
なお、クロアシミヤマをクリイロミヤマの亜種とする場合もありますが、本ブログにおいては、2010年の大図鑑及び最新の「BE-KUWA 75号」に基づく分類にて記載しているため、クリイロ・クロアシ共に独立種かつ2亜種を採用しています。

和名:クリイロミヤマクワガタ(原名亜種) 
学名:Lucanus kanoi kanoi Y. Kurosawa,1966   
分布:台湾中部 / C. Taiwan
サイズ:♂30.0〜57.0ミリ、♀25.1〜43.0ミリ
珍品度:少ない⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

北部亜種 
学名: Lucanus kanoi piceus Y. Kurosawa,1966 
分布:台湾北部/ N. Taiwan 
サイズ:♂39.0〜65.0ミリ、♀26〜34.0ミリ 
珍品度:少ない⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

大図鑑によると『ミヤマクワガタに似た中型種で、ミヤマクワガタの♂に比べて小型で、体表面の微毛が少なく、肉眼ではほとんど見えない。頭部はやや小さくて、大あごはやや短く、大あごの先端は小さく二又に分かれる、前胸背板と上翅は鋭い光沢がある。♀は頭部と前胸背板が小さく、黒褐色〜黒色で鋭い光沢がある。
5月〜7月に出現するが少なく、多数のタカサゴミヤマクワガタに混じって飛来する。』(世界クワガタムシ大図鑑, 藤田宏, 2010, むし社, 解説編P43) とあります。
また、北部亜種と共に、種名の「kanoi」は鹿野忠雄博士に由来するそうです。

また、台湾のクワガタ全種を網羅している「新版 鍬形蟲 日記簿」(黃仕傑, 2019年, 紅樹林出版, 台湾 P113)によると、台湾名は「栗色深山鍬形蟲」であり、主に標高1400m前後の山地に生息し、灯火での飛来により得られる旨が記載していあります。(全て中国語のため訳に自信はありませんが)

直近のグループ分けによると、日本のミヤマクワガタと同じいわゆる「ミヤマ」グループに分類されるそうですが、個人的には国産ミヤマやチョウセンミヤマ、ボワローミヤマと本種を含めた台湾のクロアシミヤマ、クリイロミヤマ、ホウライミヤマは別グループと考えても良さそうです。

クリイロミヤマに関して、最近の流通は北部亜種の方が多いです。生息数等を含め、元来原名亜種の方が流通数は多いイメージですが、近年は一定のルートにより一定数の北部亜種の飼育品が現地よりもたらされているため、現在流通している殆どが太平山あたりを産地とする北部亜種となります。いずれにせよ、両者ともに現地での採集数もそれほど多くないのが現状のようです(特に♀)。
 
一方で、本題の原名亜種に関しては、最近で言えば2019年の夏に正規ルートで複数の入荷がありました。
私の知る限り2店舗で合計10ペア前後と記憶しています。 










◾️2019年7月15日 野外品の入手 

(多分ですが)久々に野外品が入荷したため、購入することに。今回は特殊なルートではなく、普通にむし社様での購入です。値段は1万円ぐらいだった気がします。最近の相場を考えるとかなり安いですね。
他にタイワンネブトも入ってましたが、すぐ売れてましたね。

ちなみに2020年は北部亜種が2ペア程入荷したに留まっているようです。
では、個体の紹介。

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かなり特徴が出てて良い感じです。(でもホウライともよく似てます)
実はお店に行ったのが遅かったので、あまり選択肢がなかったんですよね。
個人的には満足のいく個体は選べませんでした。
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真上ビュー。やはり原名亜種は赤みが強くて良いですね。
北部亜種は黒色なので。

次は♀。

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♀の区別は本当に難しいです。

クリイロミヤマクワガタ(原名亜種) 
Lucanus kanoi kanoi Y. Kurosawa,1966   
産地:台湾南投縣仁愛郷 / Ren’ai Township, Nantou County, Taiwan
サイズ:♂45ミリ、♀未測定 

仁愛郷より先の産地もありますが、詳細産地は一応伏せておきます。


◾️2019年7月15日 産卵セット 

買った日にセット。時間との勝負を感じたので追い掛けなしです。
上述したとおり、理想の個体は選べなかったので、産むかどうかは微妙なところです。

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セット日:2019年7月15日
ケース:小ケース
材:なし
マット:N
水分:普通
温度:21度前後

産むかどうかは祈るのみ。


◾️2019年7月30日 割り出し①

時間に余裕があったので1回目の割り出し。
採卵しました。ただ、あまり産んでいる感じはありませんね。

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♀は一応生きてました。

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卵も一応ありました。
状態が良いとは言えませんでしたが、孵化するものもありそうです。

結果は卵が7個
なんとも微妙…。

特に何も変えず再セット。


◾️2019年10月22日 割り出し②

時は流れ、10月。♀はかなり前に落ちていましたが、最後の割り出し。
2019年の8月後半から9月は本当に忙しく、そもそも半分ぐらいは日本にいなかったという…。

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一応幼虫は見えてはいたものの、結果は3頭と微妙な結果に。
前回割り出し分も5頭ほどは孵化したので、合計8頭

比較的1年と2年に綺麗に分かれるタイプなので、羽化ズレが怖いですが、気合で乗り切れば累代は続けられそうな気がします。

幼虫飼育は、生オガ主体のマットに一部カブト用の3次発酵マットを混ぜ込んだ物を使用。
基本は800ccボトル、温度は年間通して20-21度で管理しました。


◾️2020年8月 ♂羽化

時は流れ1年1化の個体が羽化してきました。
とりあえず♂のみですが、紹介。

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これ、めちゃくちゃカッコ良いですね。
羽化して半月ほど経っており、テネラルではなく、実際もこのようなカラーです。

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真上ビュー。いや、この造詣も色彩もやはり素晴らしい。
人気がなくてもやりがいのある虫ってこういう種類が当てはまるのだと思っています。
サイズは50ミリ程度と普通。

ちなみに、飼育レコードは井澤氏の55.0ミリなのでまだまだですね。
ただ、飼育者が少ないだけで普通に60ミリぐらいはいくと思います。

本種は見ての通り、ホウライミヤマと比較して新成虫の段階から微毛がほとんど生えていないことから区別することが可能です。北部亜種で赤みがかるものもいるようですが、原名亜種はやはり赤みが強い個体が多いように感じますね。


■今後の飼育予定

♀も先月には羽化している(はず)なので、来年まで寝かせてブリードできればと言ったところでしょうか。最近はまともにセットを組むことすらできていないので、この冬は飼育種を減らしつつ、整理していきたいですね。


■飼育まとめ
1サイクル回したところで一つ。

●親虫の入手
北部亜種はオークションやイベントでたまに見ますので、入手は比較的容易ですが、原名亜種は入荷が少ないので、基本的に6~7月の野外品に網を張るしかないかと思われます。

●飼育方法
大して産卵させていませんので、なんとも言えませんが、特に拘ったセットは不要で、通常のミヤマと同様に考えて大丈夫かと思います。結局は♀の状態が全てと言った感じです。

個人的に好きな部類のミヤマなので、絶やさず細々とやっていきたいですね。



ヴェムケンミヤマ飼育記①

今回はヴェムケンミヤマの飼育記事となります。
とりあえず1サイクルが完了し、一区切りということで。


◾️ヴェムケンミヤマについて

まず、和名についてですが、以前記事に載せた通り、当ブログにおいては最新の和名に基づき「ウェムケンミヤマ」ではなく、「ヴェムケンミヤマ」と現地ドイツ語の発音ベースにさせて頂きます。
ちなみにこの和名、全然浸透してないです。理由はショップが使用してないからというのが一番大きいです。生物学的には学名ファーストなので正直和名なんてなんでも良いのですが、ある程度統一した方が気持ち良いので、これを見た方は明日から「ヴェムケンミヤマ」で統一しましょう。でも一度浸透した和名を変えるのって難しいのよね。

和名:ヴェムケンミヤマクワガタ
学名:Lucanus wemckeni Schenk, 2006
分布:インド北東部(アルナーチャル・プラディーシュ州)、中国(チベット南東部)
サイズ:♂31.9~57.5ミリ、♀27.6~32.0ミリ

特徴は独特の大あごで他種には見られない面白い形状をしています。


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ヴェムケンミヤマといえば、従前より珍品として名高い種類の一つでした。
本種は2006年に記載されているものの、2010年の大図鑑では紹介されておらず、おそらく日本の図鑑で初めて紹介されたのは、2014年の「BE-KUEA 50号 インドのクワガタムシ大特集」と推察されます。本誌において『灯火にはあまり集まらない珍品』『3年間の調査で本種に出逢えたのはわずか10回にも満たない』と記載されています。
標本価値も非常に高く、ミシュミミヤマと並んで、非常に高価なミヤマの一種でした。

一方、生体の初入荷は2015年頃と記憶しています。
インド産のクワガタの輸入は現在一部の中国経由を除いて、基本的に前田氏のみですので、いつかは入ると思っていましたが、割と早かったですね。当時の値段は分かりませんが、数十万円(30−50万ぐらい)だと思います。
その後、2018年は♀単品で5万円、2019年は♀単で3万円強まで下がりました。ある程度数が採れ、飼育が簡単だと一気に相場が下がりますね。

グループはメアレーミヤマ、ロンドミヤマと同じグループに属します。光沢が強く、♀が非常に類似していることに特徴があります。特にヴェムケンとメアレーの♀は非常に類似しており、一応区別する方法はありますが、100%の判別は困難と考えられます。現に、同定100%じゃないからという理由で安く販売していたり、♂の反応を確認してから販売してたりします。あと多分に漏れず♂は標本にされることが多いので、♀単品での販売が多いです。

また、主にインド北東部の個体が生体として出回っています。現在最も多く流通しているのが、Lower Subansiriです。次がWest Kameng、West Siang、チベットメンリン県ですが、いずれも入荷数が少ないので、少数です。なお、チベット産は2015年の9月に不明種として入荷した個体からの累代です。



我が家でも複数産地は飼育せず、多産地であるLower Subansiriの個体のみ飼育しています。


ちなみに、産地による個体差はあるのかという疑問はありますが、これについては「おそらくない」というのが現状の結論かと思います。West Siang以外の個体は全て見たことがありますが、特に違いがあるようには見受けられませんでした。チベットの個体は赤くなるという話もありますが、これは産地差というより個体差のような気がしています。
また、あまり知られていませんが、本種は全く微毛がないメタリックな個体が存在します。現在確認しているのは、West Kamengでの個体ですが、聞いたところWest Kamengの全ての個体がこのような特徴を備えている訳ではないということなので、これも血統によるもの、個体差の範囲と言えるのではないかと考えています。(遺伝はするようです)
このメタリックの個体、実際見ましたが、印象がガラリと異なりカッコ良かったです。


■2018年 個体の入手

成虫はまだ高いため幼虫で購入しました。
ショップからの購入で4頭1.2万円ぐらいと、当時にしても破格の値段だったと記憶しています。
その後いろいろあり、4血統ほど飼育していますが、ひとまずこちらの血統の顛末から。

幼虫は800ccボトルに生オガ発酵マットで管理。温度は20度前後一定です。

■2020年3月 羽化

内容をだいぶ端折りましたが、4頭中3頭は無事に2年弱で羽化しました。
冒頭の写真とは別個体です。

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この大あごが特徴的です。

ちなみにこちらの♂はサイズが59ミリでした。
現レコードは60.0ミリなので、比較的大きい個体だと思います。(非公式では60ミリ以上も出ていたはずなので、特大ではないです。)
こんな適当な飼育でこのサイズになるので、60ミリ台後半は余裕でいくと思います。

これらの個体は秋以降に飼育予定で寝かせています。


■2020年2月 成虫ペア入手

今年ブリードの個体も欲しいよねということで、サイズは小さいですが、2020年夏ブリード用の個体を入手。値段は安すぎるので非公開。予備として2ペア入手しました。

紹介。

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真上ビュー。

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少し小さいので迫力には欠けますが、特徴はよく出ています。

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こちらが♀。メアレーと比較して実は特徴がよく出ている個体なので、この写真はよく見ておくと良いです。

ヴェムケンミヤマクワガタ
Lucanus wemckeni Schenk, 2006
産地:インド共和国アルナーチャル・プラディーシュ州ローワーサバンシリ/ Lower Subansiri District, Arunachal Pradesh, India
羽化:2019年10月


■2020年5月27日 ペアリング

5月上旬には起きていたので、ペアリングを実行。
クリアスライダー小で実施。

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交尾欲は通常のミヤマ同様に高いので、ペアリングは普通に目視できました。


■2020年5月30日 1セット目

とりあえず1セット目を組みました。
マットは悩みましたが、試したいマットがあったので、実験に使用。

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セット日:2020年5月30日
ケース:中ケース
材:なし
マット:N+カブトマット
水分:普通
温度:21度

今年は材は入れないことにしました。
また、少しカブトマットは某メーカーのマットを使用しています。初めて使用しますが、触感はわりといい感じです。

飼育自体は難しい種類ではないので、これで大丈夫だと思います。


■2020年6月7日 2セット目

セット内容は上記同様です。
こちらはペアリングを目視できなかったため、面倒になり同居セットです。
(♀殺しはあるので、本来は避けた方が良いです。)


■2020年6月14日 割り出し①

1セット目の割り出しをしてみました。

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ひっくり返した時点で卵は見えましたので、一安心。

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その後も卵は出続け、結果は30個
1日2個ぐらいのペースで産んでいたようです。卵の状態もGood。ほぼ孵化すると思います。

今回使用したマットも問題なく使えるようです。

■2020年7月14日 割り出し②

1セット目の2度目の割り出し。
この日は12個でした。少しペースは落ちましたが、卵の状態は変わらずGoodでした。


■2020年8月16日 割り出し③

2セット目も含めて、放置してました。
この日にまとめて割り出し。

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結果は、
セット1:卵31個、幼虫1頭
セット2:幼虫55頭

1回目、2回目の割り出しと合わせて合計で卵72個、幼虫56頭で合計128でした。

2セットの合計ですが、十分な数が採れたかと思われます。
本種のセットは初めてでしたが、やはり簡単なようです。

卵もほとんど孵化してきています。
これ秋も2♀ぐらい控えてますが、ブリードする必要ないんじゃ…と思い始めていますが、また考えます。


■飼育まとめ

ここで一度簡単にまとめます。

●個体の入手について
今年は野外品はありませんでしたが、値段も下がってきましたので、野外品から入手しても良いと思います。ただ、状態が悪い♀も多いので、実物は見た方が吉。また、West Kamengの個体はメアレーの可能性も高いので、Lower Subansiriの方がいいです。下手にマイナー産地の個体を飼育すると、偏った際に探すのが面倒です。
幼虫なら手頃なお値段で購入できますので、幼虫からの飼育もおすすめです。

●産卵について
通常のミヤマと同様のセットで大丈夫です。黒土も材も不要ですが、あっても大丈夫です。
特に気にする点はないように感じました。

●幼虫飼育について
たまに聞かれますが、本種もそんなに癖がある訳ではないので、生オガ系のマットや黒土系のマット、発酵深めのマットいずれでも問題なく育ちます。幼虫の体重はユダイクスや国産ミヤマと比較すると驚くほど乗りませんが、還元率は割と良いので、800ccボトルでもそれなりのサイズで羽化します。幼虫期間は1.5年ぐらいが平均かなという印象です。

以上、総じて飼育は容易です。

なお、本種は孵化率100%に近いレベルで良いのですが、メアレーがイマイチなんですよね。
やっぱり何か違うのかも。

次の目標は65ミリで頑張ります。






野外品の入荷について 2020年上期

大変ご無沙汰しております。
7月から新規案件などがあり絶望的に仕事が忙しく、少し離れておりましたが、落ち着いてきたので復活しました。

今年は新型コロナウィルスの影響で野外品が一部を除きほとんど停止しています。
そんな中で、現状の入荷情報を集められるだけ集めましたので、まとめてみました。
話半分程度で見て頂ければと。本当は表にしたかったけど時間がないので…。


■2020年上期の入荷

なお、注意点は下記です。

・あくまで私の認識している範囲
・基本的にお店に入荷した日(通関日とは限らず)
・以下以外にも個人の入荷もありますが、あえて入れていないものもあります
・店名は略称です
・複数のショップで入っている場合、同じ便の可能性があります
・来年の参考に国内離島は一応含めました
・入荷した代表種を記載しました(記載種は独断と偏見)

1/9 オーストラリア(NK):ハイイロ
1/11 オーストラリア(POB):ハイイロ
1/12 チベット材割(LS):マクレイ
1/13 台湾(LS):タイワンネブト
1/15 チベット(POB):ウォードコクワ
1/17 雲南省(DG):ウォードコクワ
1/25 オーストラリア(POB):ハイイロ
2/1 オーストラリア(POB):ハイイロ
2/4 ブラジル、エクアドル(MK):ギアス、リッキー、ネプチューン
2/6 ペルー(DF):ソウラニセネブト、シミリスニセネブト
2/13 ハルマヘラ島(A):メタリフェル
2/18 タイ(LS):スペキオススシカ(幼採)
2/19 フィリピン(M):パラワンヒラタ
3/1 マレーシア(DG):モセリ、ミラビリスヒラタ、タウルスヒラタ、オキピタリスノコ、オパクスソリアシサビ、アクミナートゥスネブト、ミネットサビ♀
3/12 エクアドル(KP):ネプチューン
   ハルマヘラ島、カシルタ島、バチャン島(A):メタリフェル、ウォレス
3/22 フィリピン(KP):パラワンヒラタ
4/6 タイ(LJ):スペキオススシカ
4/18 マレーシア(BLP):モセリ
5/13 マレーシア(LS):コーカサス
5/23 台湾(NK):タカサゴミヤマ
6/4 カメルーン(POB):ファベールノコギリ
6/8 台湾(POB):タカサゴミヤマ、タイワンヒメミヤマ
6/17 台湾(IJ):フォルフィクラ、ムニスゼッチ、タカサゴミヤマ
6/19 マレーシア(MO,BLP,LJ,M):コーカサス、モセリ
6/20 タイ(DF):アンタエウス
   台湾(NK):ヤマダ、タカサゴミヤマ、タイワンサビ、ヒメミヤマ、ツノボソ、タイワンネブト
6/27 台湾(IJ):タカサゴミヤマ、クリイロミヤマ
6/28 インドネシア(A,DG)、ハルマヘラ、モロタイ(A):メタリフェル(otani)、プラティオドン(原名)、ウォレス
6/29 カメルーン(POB):レギウス、グラディアトール
7/3 カメルーン(MK):レギウス、グラディアトール
7/6 奄美大島(NK):アマミノコギリ、スジブト、アマミヒラタ
7/7 沖縄本島(LJ):オキナワヒラタのみ
  インドネシア(M):メタリフェル
  台湾(DG):タイワンミヤマ、ヒメミヤマ、ザウテルシカ
7/11 カメルーン(KP):グラディアトール
7/14 奄美大島(MK):アマミノコギリ
7/17 奄美大島、屋久島、種子島(M):アマミノコギリ、ヤクシマノコギリ、ヤクシマコクワ
  インドネシア(KP)
       トルコ(KP,DF):ラティコルニスミヤマ、アクベシアヌスミヤマ、パラレリピペドゥス、フィードラーミヤマ?(不明種)
7/20 カメルーン(POB):アンティロープ、サバゲ、グラディアトール
7/21 奄美大島(IJ):アマミノコギリ、アマミコクワ、スジブトヒラタ、アマミヒラタ
7/26 マレーシア(LJ):ディディエールシカ、コーカサス
7/29 ロシア・クリミア(H):ケルブスミヤマ
7/30 マレーシア(BLP):コーカサス、モセリ、コツヤ、ミネットサビ
8/2 奄美大島(MK):アマミノコギリ、スジブトヒラタ、アマミコクワ
8/4 マレーシア(DG):モセリ、ディディエールシカ、アンタエウス、ハンステインヒラタ、フェモラリスツヤ、アスタコイデス、コーカサス
  久米島、新島、式根島、利島、大島(M):クメジマノコ、オキナワヒラタ、ミヤケノコ、コクワ

今年は見て分かる通り、新型コロナウィルスの影響が大きく、まともに入った海外は3月以降だと台湾とマレーシア、インドネシア、カメルーンのみです。
マレーシアは爬虫類と一緒に入れられるそうなので入ってるみたいです。種類は少なめです。
カメルーンはエアカーゴが復活するのが比較的早かったそうです。
台湾はノーコメント。トルコのラティコルニスもショップに卸してるのは個人ですね。
ヨーロッパサイカブトとかも一緒に入ってるみたいです。
ラティコルニスは持っていなければ買ったかもしれませんが、割と数はいるのでやめました。

中国やベトナムなどアジア各国は入国が制限されているため現状は難しいようです。
8月から再開するという噂もありますが、現状なんともというところですね。


■2020年飼育の現状

野外品も入らないし飼育品をちゃんとやろう、と思ってからはや4ヶ月ほど経ちましたが、今のところギリギリ最低限でとどまっている感じです。
というのも忙しくて最低限のセットを組んで放置、という状態が続いています。

特に4月頃から段階的にミヤマを起こしてセットを組んでいますが、アクベシアヌスを50頭程度回収し、後はラエトゥスもヴェムケンもメアレーも全部30頭ほど回収したあたりで採卵もやめてしまいました。他にもミヤマだけで10種類20セット以上は組んでいますが、結果はまだ確認していません。8月は比較的時間があるので、ペアリングだけしたセットや組みっぱなしで放置したセットを少しずつ消化していきたいですね。

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写真はセット中のタイワンミヤマ。


■新型コロナウィルスと採集について

例年2,3箇所の離島や山梨に採集を兼ねて旅行をしていますが、今年はさすがに行っていません。
個人的には離島は論外として、県外への採集もあまり良くないと思っています。この辺は賛否両論あると思うので、深くは言及しませんが。

そう言えば、7月は横浜KUWATAがありましたね。
特に予定はありませんでしたが、流石にpassしました。感染リスクがあるうちは、イベントの参加も厳しいですね。
9月の大手町インセクトフェアも3月に延期になりましたし、イベントはしばらく難しそうです。

お盆も帰省は出来なそうなので、親族でのオンラインミーティングを企画中です。

早く自由に動ける日が来ると良いのですが。




少しずつ時間ができたので溜まった記事を更新していきます。


今回はマイナーなオニクワガタ属の1種であるトリアピカリスオニクワガタの飼育記事です。1サイクル回したので、一旦まとめ。

オニクワガタの仲間であるPrismognathus属は個人的に非常に好きで、現在も6種類ほど飼育しています。


■トリアピカリスオニクワガタについて


オニクワガタの仲間は東南アジアを中心に約30種ほどが生息しており、大きく分けて、いわゆる日本のオニクワガタ系とキンオニクワガタ系の2タイプがいると思うのですが、ほとんどが後者です。今回紹介するトリアピカリスオニクワガタはどちらかというと、キンオニクワガタ系に属するタイプと考えられます。

どちらかというとというやや曖昧な表現を使用しているのは、このトリアピカリスオニはオニクワガタ属の中でも数少ない、長歯型が存在する種類だからです。

ちなみに、本種以外に顎が湾曲して伸びる(長歯型と言えるような)オニクワガタはプラティケファルスオニクワガタ(Prismognathus platycephalus)、カスタネウスオニクワガタ原名亜種(Prismognathus castaneus castaneus)、カスタネウスオニクワガタミャンマー亜種(Prismognathus castaneus sukkiti)、ミヤシタオニクワガタ(Prismognathus miyashitai)などです。


和名:トリアピカリスオニクワガタ

学名:Prismognathus triapicalis Houlbert, 1915, comb, nov.

分布:中国(チベット自治区、四川省、雲南省、貴州省)/ Tibet, Sichuan, Yunnan, Guizhou, China

サイズ:♂24.0~37.3ミリ、♀19.6~21.9ミリ

珍品度:少ない☆☆☆☆


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中国西部に生息するオニクワガタですが、過去に入荷した個体はほとんど四川省の個体だったように思います。


大図鑑によると、「♂は褐色~黒褐色で、かすかに唐金色をおびる。頭部は中央部で浅く逆三角形状にくぼみ、側縁の前方はほぼ直角に小さく角ばる。頭楯は横に長い四角形状で、両端はやや尖る。長歯型の大あごは細長く前方に伸び、頭部の長さの約2倍で、ゆるやかな弓状に湾曲し、先端部で上下に二又に分かれ、上方のものはやや短くて先端は鋭く尖り、下方のものは先端が前後に二又に分かれ、個体によっては、二又部分の間に1~数本の小内歯が並ぶ。大あごの基部にごく小さな1~2本の三角形状の内歯が現れる個体もある。♀は黒褐色で光沢があり、上翅がやや長い。」と記載されています。(『世界のクワガタムシ大図鑑』, 2010, 藤田宏 P166より抜粋)


以下は四川省のマップです。

四川省は中国の中でも貴州省や海南島あたりと並んで比較的昔から生体が入荷している地域ですね。ただし、本種が入ってきたという記録はここ5年ぐらいの話のような気がします。近年はチベット自治区当たりの方がフォーカスされてる感があるので、入荷が減っている産地となりつつあります。

そもそもの話なんですけど、オニクワガタの野外品ってほぼ例外なく寿命が短いので、輸入が難しいんですよね。近場である台湾のオニクワガタですら、ほとんど入ってきません。もっと日本のキンオニ寄りの種類(例えば一昨年入荷のあったクラッペリッチオニなど)は低温環境であれば比較的寿命があるので、入れやすいかもしれません。それでもインド方面はかなり厳しいでしょうね。入ったら奇跡。

なお、2019年はミヤシタオニが1♀入ってましたが、入荷して1週間程度で落ちたみたいです。



このトリアピカリスオニですが、実はオニクワガタ属の中では、日本から朝鮮半島にかけて生息するキンオニクワガタの次に大きくなる種類です。

(あくまで個人的な意見ですが)実際のところ、大型個体が見つかっていないだけで、40ミリ超の個体も存在すると思います。

キンオニの飼育レコードが40ミリ(多分今年更新されると思いますが)なので、実質最大種といっていいでしょう。


ちなみに、オニクワガタの中でも歪な形状の種類であるため、記載時はGonometopus属として1属1種で記載されたそうです。なお、♀の形状はほぼほぼオニクワガタなので、現在の区分は妥当なのでしょう。


この属に関しては、正直研究が進んでいない部分も多いと思いますので、今後の研究に期待ですね。

「BE-KUWA50号 インドのクワガタムシ大特集」(2014年, むし社)においても「世界クワガタムシ大図鑑」(2010年, 藤田宏)において掲載されていないブレッドシュネイダーオニクワガタ(Prismognathus bretschneideri)やパルブスオニクワガタ(Prismognathus parvus)、不明種などが図示されており、特にインド〜チベットにかけての研究はさらなる新種の発見があると思われます。

なお、このあたりのオニクワガタは現地では2,000〜3,500m級の標高で得られるとのこと(採り子もいないそう)。ネパールのアーチェルニセヒラタやチベットのプロメテウスミヤマもこういう感じの高標高に生息しているようですが、本当に海外の山脈ってすごいですね。

まぁ、前述したようにミヤマより寿命の短いオニクワガタに関しては、生体での入荷は不可能でしょうけど。



■2018年8月 幼虫入手


横浜のイベントにて購入。

金額は忘れました。


詳細はこちら


幼虫飼育は安定した羽化を目標に、無添加の1次発酵マットに500ccボトル、温度は20度で管理しました。



■2019年12月末 羽化


マットが乾燥気味だったせいか(マット交換は1回のみ)、かなり時間がかかりましたが、ようやく羽化してきました。

そして奇跡的にペアがそろいましたので、ブリードすることに。

正直諦めていたので、ここはかなり嬉しかったです。揃って羽化して初めてスタートライン。


本当にこのPrismognathus属というのは、寿命が最大のネックで、1か月の羽化ずれでも致命傷になりますので、安定して累代するにはうまく羽化時期を調整するか、ある程度数を抱えるしかないですね。


羽化した個体の紹介。冒頭の個体です。

幼虫期間が長かったおかげか、無事に長歯型が羽化してきてくれました。


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横から見ると、二又状の内歯が上に反り上がっているのがよくわかります。

本当にオニクワガタと思えないほど、立派な大あごです。

色彩は安定のゴールド。



そして、本当にカッコ良いですね。


次に♀。


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♀はオニクワガタっぽい♀ですね。

これもメスは黒いです。


トリアピカリスオニクワガタ

Prismognathus triapicalis Houlbert, 1915, comb, nov.

産地:中華人民共和国 四川省Mt. Nibashan / Nibashan, Yingjing Xian, Yaan Shi, Sichuan Sheng, China

累代:WF2

羽化日:2019年12月


ちなみにこのような名称の山があるのかは不明です。一応四川省雅安市滎経県にそのような地名があることは確認しましたが…。



■2020年1月6日 ペアリング


500ccボトルに適当に水苔を敷いてペアリングを実施。

ここは普通のオニクワガタと同様に、すぐにペアリングできました。


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念のため1日同居。


■2020年1月7日 産卵セット


一般的なオニクワガタのセットにて組みました。

おそらくオニクワガタは全種このセットで大丈夫です。


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セット日:2020年1月7日

ケース:小ケース

材:柔らかめのクヌギL材

マット:無添加1次発酵マット

水分:普通

温度:20度


材はボーリン用にとっておいた、柔らかめでかつやや太さのある非常に品質の良いものを使用しました。

クラッペリッチの反省を生かし、加水もほどほどに、マットも適度な加水にとどめました。

オニクワガタ全般としてやや低温の方が、寿命も産卵も安定するので、温度はいつも通り20度。

寿命が短い種なので、1つのミスも許されない1発勝負のセットです。



■2020年5月10日 割り出し


実は3月半ば頃から幼虫が見えていましたので、少し安心の割り出し。

オニクワガタ全般、産卵自体はほぼほぼ材にしますが、幼虫は溢れてマットにいますので、1.5~2ヶ月程度経っても幼虫が見えない場合には、失敗していることが多いです。


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出ますね。


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材の中にも多くいます。


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芯の方にもいました。

サイズもちょうど良いぐらいですね。


結果は、21頭

やや少ないですが、累代はできそうな数ではあります。この手の虫は成虫で放出できないので(寿命が短いので販売しにくい)、幼虫で放出するのが得策なのですが、数が少ないのですべて飼育します。


本種ですが、飼育している人は知っていますが、おそらく国内で飼育している人数は5人程度と思われますので、絶やさないように飼育したいですね。できれば野外品を入れてほしいところです。



■飼育まとめ


ということで、幼虫から始めて幼虫を得られたということで、無事に1サイクル。

飼育の感想です。


●親生体の入手

野外品が入ったら入った日に連絡して買う。それしかないかと。

オークションはここ数年で1ペアだけ見ました。標本はよく出てます。

幼虫での販売も今後はあまり期待できないと思います。野外品の入荷を祈りましょう。


●産卵について

通常のオニクワガタと同じで大丈夫です。

特にひねったことをせずとも、そこそこ柔らかめの材と温度さえキープできていれば産卵は難しくないと思います。やはりネックはキンオニの飼育記で散々書いた寿命。羽化時期を何としても合わせるのが大事です。


●幼虫飼育について

マットは無添加しか使いませんでしたが、今回はキンオニと同じレベルの添加マットを使用しての飼育を考えています。飼育で40ミリを出したいですね。

あとは温度にさえ気を付ければ問題なし。


過去にアルクアトゥスオニ(Prismognathus arcuatus)というのが入荷しており、累代も成功しているのを知っているのですが、どなたか飼育している人いませんかね。